親が債務整理をすると子どもが奨学金を借りられなくなる?奨学金は債務整理できる?

債務整理をした場合子供は奨学金を借りられなくなるの?

債務整理を検討する場合,いろいろなことが心配になると思いますが,債務整理と奨学金の関係も,気になっている人の多い事項です。

まず,親が債務整理をした場合に子供が奨学金を借りられるのかどうか,債務整理をしようかと検討している子育て中の人は,非常に関心がある点だと思います。

また,奨学金を返済中だけど返済が難しくなってきたというような人にとっては,奨学金の債務整理は可能なのかどうか知りたいという人もいらっしゃるでしょう。

そこで,この記事では,債務整理と奨学金の関係について,「債務整理をすると子供が奨学金を借りられなくなるのか?」という点と,「奨学金を債務整理することはできるのか?」という点に分けて,詳しく説明していきます。

奨学金とは

「奨学金」とは,経済的な理由,事情で進学が難しい人に向けて,学費や生活費の貸与などをしてくれる制度のことをいいます。奨学金には,卒業後に返還する貸与型と,返還の必要がない給付型とがあります。

代表的な奨学金は,日本学生支援機構(JASSO)が行うものです。第一種奨学金(無利息)と第二種奨学金(利息付)がありますが,どちらも後から返済しなければなりません。その意味では,借金と同じです。

教育ローンと奨学金の違い

奨学金と似ているものに,教育ローンがあります。借入金の用途が教育費に限られたローンのことを,教育ローンといいます。代表的な教育ローンは,国の機関である日本政策金融公庫から借り入れるものです。

奨学金と教育ローンの一番の違いは,誰が借り入れるのかです。

奨学金は,学生本人が借主になります。一方,教育ローンは,保護者が借主になるのです。なお,返済開始時期も異なります。奨学金の返済開始時期は卒業後ですが,教育ローンは,一般的に,借り入れた翌月から返済が始まります。

奨学金の審査において,親の信用情報が確認されることはない

債務整理をすると,通常,ブラックリストに載ります(個人信用情報機関に事故情報が登録される)ので,ブラックリストに載っている期間(5年~10年程度)は,新たな借り入れをすることはできません。ですから,親が債務整理をした場合,5年~10年程度の間は,教育ローンを親が借り入れることはできない可能性が極めて高いです。

しかし,奨学金は,子供自身が借り入れるものなので,奨学金の審査の際に,親の信用情報が影響することはありません。

そのため,親が債務整理をしたということだけをもって子供自身が奨学金を借りられなくなるということはないのです。

保証人はどうするのか

ただし,奨学金の多くは,連帯保証人と保証人を必要とします。日本学生支援機構の奨学金においては,連帯保証人は原則「父母」となっています。

本人が奨学金の延滞をした場合には,連帯保証人に請求されることになっていますから,連帯保証人については,信用情報が確認されます。そのため,ブラックリストに載っている状態では,連帯保証人になることができないのです。

それでは,親が債務整理をした場合,結局,連帯保証人が用意できないことから奨学金を借りることはできないのでしょうか?

実は,奨学金の保証制度には,連帯保証人と保証人を選任する方法(人的保証)たけではなく,機関保証に加入する方法(機関保証)があります。

機関保証を選択した場合には,連帯保証人や保証人の用意は必要ありませんので,親が債務整理をしていてブラックリストに載っているとしても,影響はないのです。

機関保証の場合,保証料が必要になりますので,奨学金の手取りが少なくなるというデメリットはありますが,親の信用情報に問題がある場合には,こちらを選択することで,子供の責任だけで奨学金の申込みをすることができます。

債務整理をしても早い段階であれば将来的な問題はない

以上のように,奨学金の借主は親ではなく子供自身であること,債務整理直後の親を連帯保証人にすることは難しいが機関保証という保証方式を選択するが可能であることから,親が債務整理をしたからといって子供が奨学金を借りられなくなるわけではないことがわかります。

子供が奨学金を借りられるのかどうかを気にして債務整理に踏み切れない人は,基本的にそのようなことはありませんので,安心してもらってよいと思います。

奨学金を債務整理することはできるのか?

次に,奨学金の返済が難しくなった場合に,債務整理をすることができるのかについて,その他の対処法もあわせて見ていきます。

奨学金を返すことができないとどうなるのか

そもそも,奨学金が返せない場合にどのようなリスクがあるのでしょうか。

奨学金を返すのが難しくなって,延滞するようになると,延滞金が発生したり,連帯保証人への請求が行われたり,個人信用情報機関に事故情報として登録されたり(ブラックリストに載る),期限の利益を喪失して一括返済を求められたり,さらには,給料や財産の差押を受けたりといったことが起こり得ます。

ですから,奨学金の返済が難しくなってきた場合には,出来るだけ早く,対処方法を検討しなければなりません。

減額返還制度,償還期限猶予,返還免除の制度

日本学生支援機構(JASSO)の奨学金には,減額返還制度や償還期限猶予,返還免除の制度が用意されています。(参考:返還が難しいとき)奨学金の返還が難しくなった場合にまず検討すべき制度です。

・減額返還制度

減額返還制度とは,災害傷病,その他経済的理由によって奨学金の返還が難しくなった場合に利用できる制度です。一定の要件を満たすと,返還する総額が減るわけではありませんが,月々の返還額を減らしてもらうことができます。総額を変えずに月々の負担を減らすので,返還期間はその分長くなります。

・返還期限猶予制度

災害傷病,経済困難,失業などの返還困難な事情が生じた場合に,返還期限の猶予を願い出ることができる制度です。一定の要件を満たすと,最長10年まで,返還期間を延ばしてもらうことができます。返還期間を延ばしてもらっても,返還予定総額が増えてしまうことはありません。

・返還免除

本人が死亡し返還ができなくなったとき・精神若しくは身体の障害により労働能力を喪失又は労働能力に高度の制限を有し返還ができなくなったとき,の2つの場合に,全部または一部の返還を免除してもらうことのできる制度です。

奨学金を債務整理の対象とすることはできる

奨学金は,公的な性格を持ってはいますが,税金ではありません。

法律上,税金は,非減免債権・非免責債権とされていて,どの種類の債務整理によっても,減額や免除はできないことになっています。

しかし,奨学金は,税金ではありませんので,債務整理で減額・免除の対象とすることが可能なのです。

そこで,奨学金以外の借金が多いなどの理由で上記のような日本学生支援機構の救済制度を利用しても返済することができない,または,救済制度の要件を満たさないなどの場合には,債務整理を検討することになります。

債務整理には,主に,任意整理,個人再生,自己破産といった種類があります。それぞれにメリットデメリットがありますので,以下,説明していきます。

任意整理

まず,考えられる債務整理として,任意整理があります。任意整理は裁判所を通さない手続きですので,トライするハードルは比較的低いといえるでしょう。

しかし,奨学金を任意整理する借金の対象とするメリットは,通常ないといわれています。

任意整理は,利息をカットしてもらったりして借金の総額を減らしたり,返済期間を延ばしてもらったりする手続きです。

ところが,奨学金は,通常の金融機関からの借金とは異なり,もともと金利はかなり低く設定されていますし,返済期間も長いです。また,日本学生支援機構が,利息のカットなどに応じてくれることは基本的にありません。

そのため,奨学金を任意整理するということは,通常ないといえるのです。

もっとも,奨学金以外に借金があって奨学金の返済も苦しくなっているような場合に,奨学金以外の借金を対象に任意整理を行うことには,十分意味があります。

後で説明するように,奨学金を債務整理の対象とすると,連帯保証人や保証人に迷惑をかけることになりますが,任意整理であれば,奨学金だけを対象から外すことが可能です。ですから,連帯保証人や保証人に迷惑をかけることなく,奨学金以外の借金の負担を減らすことができるのです。

この場合,奨学金については,先ほど説明した減額返還制度や償還期限猶予の利用を検討するとよいでしょう。

個人再生

個人再生は,裁判所に申し立てて,借金を大幅に(住宅ローンを除いた借金の総額により異なりますが,多くの場合,5分の1)減額してもらい,原則3年間で返済していく手続きです。

奨学金を個人再生の対象にすることも可能です。

個人再生には,住宅ローン特別条項という制度を利用することで,住宅ローン以外の借金だけを減額して,マイホームを手放さないで済む場合があるというメリットがあります。

そのため,奨学金も含めてそのままでは返済できないような額の借金を抱えているが,マイホームを手放したくないというような場合,個人再生によって減額された後の借金を返せるだけの安定した収入のある人は,個人再生を選択することが考えられます。

自己破産

奨学金も含めた借金の額が大きかったり,安定した収入がなかったりして,借金を返済できない状態に陥った場合には,最終手段として,自己破産を行うことが考えられます。

自己破産では,手続きが成功すれば,奨学金も含めたすべての借金を免除してもらうことができますので,借金の返済から解放されます。ただし,その代わりに,価値のある自分の財産は,マイホームも含めて基本的に処分しなければならないことになります。

奨学金を債務整理する場合の注意点

債務整理を行うと,連帯保証人や保証人に対して請求がいくことになります。

そのため,奨学金を借り入れる際に,先ほど説明した人的保証の方の保証方式を選択していた場合には,奨学金を債務整理することによって,連来保証人や保証人になってもらっていた保護者や親族に迷惑をかけることになってしまいます。

機関保証方式であった場合には,特に親族に迷惑がかかることはありません。

人的保証の場合には,まずは任意整理が可能ではないかどうか検討してみるのがよいかもしれません。

まとめ

以上,親が債務整理をしたからといって子供が奨学金を借りられなくなるわけではないという点,奨学金の返済が苦しくなった場合に債務整理を行うことも可能である点について,説明してきました。

債務整理を行う場合,法的知識がないと難しいような様々な判断が必要になります。借金問題の専門家である弁護士に相談することで,債務整理をした場合にどのようなリスクがあるのか,また,どの種類の債務整理を選択するのがよいのかなど,適切なアドバイスを受けることができます。

借金問題を抱えているような場合には,出来るだけ早く,弁護士に相談することをおすすめします。

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